大アルカナ 人(経験)の巻 8~14のカードの物語

日本昔話タロットでは大アルカナを3部作の流れに分けています。

第二ステージとなる「人」の巻は、

経験というステージ。

それぞれのカードには奥深い物語があります。

8 力 STRENGTH 金太郎

日本昔話タロットの力のカードは

「金太郎」で表されています。

 

金太郎は幼少の頃より怪力。

小動物と仲よく遊んでいた時に現れた熊と相撲を取り倒してしまいます。

 

後に酒呑童子を倒した、「坂田金時」の幼少の頃の呼び名と言われています。

金太郎の人間離れした強さに、

母は山姥(山の神)、父は龍(水の神)とも言われています。

 

金太郎は力だけでなく、

動物と話す事が出来るという特殊能力があったように言われておりますが、

恐らく自然の力を味方につける、

相当な智者であったと思われます。

ウエイト版「力」

 

獅子を手なずける女性。

その頭には無限を表すシンボルが描かれています

無限のマーク「∞」は蛇が自分の尾を噛んでいる姿がモチーフ、「ウロボロス」が起源と言われています。

これは蛇が受けた傷を脱皮によって修正し、新たな姿で蘇る様を表しています。

何度でも生き返る、再生の姿に「不老不死」「不死身」「永遠の命」のシンボルとして、

5000年以上前に生まれたと言われています。

そのシンボルは、アステカ文明、古代ギリシャ、アメリカインディアン、古代中国、インド、

北欧などあらゆる場所で見受けられます。

このシンボルは縦にすると数字の8になり、日本の末広がりと同様、縁起の良い数字と言われています。

この事から、女性の無限マークと8をダブらせ、マルセイユタロットなどで11番に使われていた「力」カードをウエイト版では8番に移動されました。

この無限マークは1番のカード「魔術師」の頭の上にも描かれています。

4つの道具を使い「力」を発揮していた魔術師が、1~7の知識を得て、

道具がなくても素手でコントロール出来るようになります。

つまり、ウエイト版タロットも大アルカナを三分割し、

3つのステージで描いていたことの裏付けとなります。

その為、思い切って8番に「力」を映したのでしょう。

 

1番と8番に描かれた無限マーク。

3つのステージの2度のスタートに描かれたこのマークは15番ではどうなっているのでしょう?

それは15番、「悪魔」で解説いたします。

マルセイユタロット「力」

こちらは11番として描かれています。

マルセイユタロットは1番~10番、11番~20番の2部作構成なので、

力は2部作目のスタートカードという点は番号は違えど共通点です。

 

ウエイト版が「STRENGTH」と物理的とも思える「力」に対し、

マルセイユ版では「FORCE」と、超能力的な「力」になっています。

 

これはタロットが錬金術を編みだす道具として扱われていた事に由来します。

人は誰しも超能力のような力を持ち、

それぞれが「錬金術」を編み出せると信じられていました。

そこで、タロットを通じ宇宙からのメッセージを受けようとしたのです。

 

ウエイト版が心理学や宗教を冷静に考慮し、

近代的な解釈で描かれたのと違いが出て実に面白いですね。


9 隠者 HERMIT 傘地蔵

隠者

 

大アルカナの9番のカードで、英語で「HERMIT」と書かれています。

HERMITとは、隠者の他に、世捨て人などの意味があります。

本来、宗教色の濃い言葉です。

 

隠者とは俗世間の無用な争いや権力闘争、差別、金、

それらは本来の人間の幸せとは正反対であることを悟り、

社会の喧騒、俗世を捨てて、

身を潜めてつつましやかに過ごす人の事となります。

 

日本昔話タロットでは、

この「隠者」に「傘地蔵」が採用されています。

 

 

「傘地蔵」のおじいさんとおばあさんはとても純朴です。

年越しのお餅がないように生活もかなり苦しい状況です。

 

これは生活やお金のためにうまく立ち回れない、

人の良さ、道徳観念、信心深さなどがあらわされています。

 

食べるものにも困っているのですが、

二人はとても思いやりがあり、互いをねぎらいます。

 

二人でこさえた「五つの傘」は一つも売れませんでしたが、

一所懸命二人で作った傘がひょんなことから「お地蔵さん」に使ってもらえることに感謝し、

そこに二人は喜びを感じています。

 

話では腹をすかしながら眠った老夫婦のもとに、

お地蔵さんがお礼の食物をどっさり持ってきてTHE ENDとなります。

 

しかし、実はそんなお礼が焦点ではありません。

 

子供にもわかるように「食べ物」や「金銀財宝」を得たハッピーエンドに作り替えているだけです。

 

老夫婦の人生はすでに完成の域に達しています。

 

世の中を達観しているわけで、隠者の夫婦がひっそりと過ごしている。

 

このカードにはそんな背景があります。

 

羅漢や賢者の域です。

 

詳しい内容は「日本昔話タロット」のブックレットに任せることにしますが、

隠者とは決して押し売りせず、

穏やかに生きし者

 

したがって、このカードを引いて、

リーディングに入る時、

「本物に目を向けなさい」、

「穏やかで一見何でもないような事に着目しなさい」、

「本当の幸せに気づきなさい」

「あなたを一番大事にしている人に気づきなさい」

そういったメッセージが込められています。

もしかすると、お金や欲望ばかりに目が行っている事への警告かもしれません。

 

優しく気づきを語り掛けてくれるカードです。


10 運命の輪 Wheel of Fortune 猿蟹合戦

「運命の輪」

大アルカナの第10番目のカードで英語で「Wheel of Fortune」と書かれています。
Wheelは車輪。
古代英語で「回るもの」を意味します。
螺旋も当てはまるでしょう。
輪廻もいいですね。
Fortuneは「運命」と訳されていますが
運命というよりは「幸運」「富」の方が適切です。
つまり「幸運の循環」。
日本昔話タロットではこの運命の輪に
「猿蟹合戦」を採用されています。
さて、日本語では「運命の輪」ですが、
上記の通り、本来は「幸運の循環」と少しポジティブなニュアンスになります。
良いことも悪いことも廻り廻る。
その他、「富」は「回る」とも解釈できます。
もう少しかみ砕くと「お金は天下の回りもの」という感じでしょうか。
もちろん、原因、結果というような「輪廻転生」という意味もあります。
良いことをすれば良い結果が
悪いことには悪い結果が
いずれ必ず返ってくるという事ですね。

 

こちらはウエイト版 ライダータロットの10番

「運命の輪」のカード絵図です。

 

真ん中にトラ TORAと書かれた輪があります。

 

大アルカナ2番のカード「女教皇」でも登場しますね。

TORAとは秘密の経典で女教皇が大事そうに抱えています。

 

TORAを会得するのは難しく、絶えず魔が寄ってきます。

 

四方には四大天使が経典を読み返しています。

つまり大天使でさえ、教えに逸れないよう

原点に返って学びなおす事があると教えてくれてます。

 

 

日本昔話タロットの「猿蟹合戦」は

作物を独り占めにする猿を蟹たちがこらしめる物語です。

 

作物は富。

富は天下の回りもの。

それを独占しようとして天罰が下る。

天罰を下したのは

栗、蜂、牛の糞、蟹、臼。

栗は作物の実りを表し、

蜂は受粉を助ける存在、

牛糞は作物の栄養分、

臼は作物を美味しくいただくための調理道具。

蟹は種から作物が育ち、また種を作る再生を表します。

「猿蟹合戦」に登場するキャラクターは作物にとってなくてはならない存在の象徴、化身。

それらが欲の塊となった猿に天罰を加えるんですね。

 

お金は天下の回りもの。

困ってる人は助けようという「運命の輪」の本来の意味がこの「猿蟹合戦」に繋がるわけです。

因果応報という意味にもそっており、

「運命の輪」を感覚で理解するのにこの「猿蟹合戦」はピッタリと言えるでしょう。


11 正義 JUSTICE 「閻魔大王」

正義は「閻魔大王」で表しています。

 

閻魔大王は「地蔵菩薩」の化身とも言われています。

「地蔵菩薩」は「観音様」の借りの姿とも言われているので、

「観音様」3番

「地蔵菩薩」5番

この「閻魔大王」11番は、三位一体※としています。

ここでの三位一体は、当事者の立場によって、仏の見え方(物質的な違い)を表しています。

 

このカードは、大アルカナ物語の真ん中で、

自分を見つめ直したり、自己評価するサイン。

まだまだ軌道修正できるので、ここでの判断はとても大事です。

自分の生き方を正す、大きな決断を下す事を迫るカード。

自分に嘘をついていたり、あやふやにしていたりしたことをハッキリするチャンスです。

ウエイト版の「正義」

真っ赤なマントを来ているのは強い意思を表し、

左手の天秤は公正さ、

右手の剣は決断を表します。

 

モチーフはユースティテイア。(テミスの場合もある。)

正義の女神であるユースティテイアは法曹関連などで、

天秤と剣を持つ彼女の像を見る事が出来る。

 

公正な天秤のもと、剣の裁きが下る瞬間。

あなたの状況に一つの答えが出る瞬間。

 

マルセイユ版の「正義」は11番目でなく、

本来、8番目に位置する。

7番の「戦車」の後、

9番の「隠者」の前。

 

構図はウエイト版と大きく変わらない。

ウエイト版の天秤が全く平行なのに対し、

こちらの天秤は多少傾いているように見える。

 

しかし、目はうつろには見えるものの、

真っすぐ前を向き、

判断が圧力によって曲げられることはないようだ。

 

 

さて、日本昔話タロットの正義、「閻魔大王」ですが、

地獄の門番として、子供にも知られた存在です。

死後、天国に行くのか、地獄に落ちるのか、

使者を裁くのです。

 

生前の悪事を聞き、嘘をついたら「やっとこ」で舌を抜かれます。

聞くまでもなく、

「閻魔大王」は「お地蔵様」として道の傍らで、

また全てを見通せる「観音様」として、天から見ているわけです。

よって、「閻魔大王」が判断する中に、

悪事は当然ですが、当事者が「非を認め反省しているか?」という点も当然考慮されるのでしょう。

 

このカードは、何かを進めていく上で、

もし、何か不安な点、もしくは間違っている点を認め、

正すチャンスかも知れません。

 

気付いていても知らないふりや、

面倒くさいので放っておくようなことはせず、

他人に対してだけでなく、

自分を裁く強い意思が必要な事をこのカードは伝えています。

「自分に厳しく!」

 

何故ならあなたは、

あなたを全部見抜いているあなただけの「閻魔大王」なのだから。


12 吊るされた男 HANGING MAN 「ベロだしちょんま」

吊るされた男は「ベロだしチョンマ」で表しました。

ベロだしチョンマは実在の人物、佐倉惣五郎の実話がモチーフとされている。

村の飢饉を救うために年貢米の減免を直訴し、

一家全員が処刑される物語。

家族は犠牲になったが、村の飢饉はそのおかげで免れた。

 

カードは処刑にあたって、怖がる妹を笑わせようと、

得意のベロ出し顔をする長男の長松。

 

このカードは誰かを救うためにあえて犠牲となることを意味する。

 

または、今は苦しくとも、いつかは報われるという信念の行動を意味する。

 

長松に射す後光と、出す舌の赤さが希望を表す。

ウエイト版の「吊るされた男」

 

この「吊るされた男」カードの意味は「見せしめ」や「処刑」、

「忍耐」「修行」など、一見するとネガティブな解釈があります。

しかし、男の顔に悲壮感はなく、むしろ芸でもしているかのよう。

後光が射している事、真っ赤なタイツ、ポーズをとっているかのような吊られていない脚。

絵をよく見ると、悪い意味ばかりではなさそうです。

 

モチーフとして、キリストやオーディーンが挙げられるように、

人々を救うためにあえて自らを「いけにえ」として捧げる精神が描かれています。

その為、介護や看護などボランティアの意味もあります。

私たち日本人には馴染みがありませんが、

世界的にみると、「兵役」も立派なボランティア。

その為、欧米では「軍に属する。もしくは軍に属する人。」という解釈もあります。

マルセイユタロットの「吊るされた人。」

吊られた感じはウエイト版と似ていますが、

両脇に窮屈そうに木が描かれています。

 

表情も自信にあるようにようには見えず、

「修行」や「見せしめ」などのネガティブな雰囲気を感じます。

 

「吊るされた人」というカード名を考えると、

本来はマルセイユ版の方が、いいのかも知れません。

 

誤解や一時の情勢で、

立場が悪くなることはどんな状況でもあります。

しかし、その度にジタバタしていては、精神的にも身体的にも持ちません。

 

時には「なるようになるさ!」という、

根拠のない自身も必要です。

それが「ベロ出しチョンマ」の後光と、出した舌の「赤」が表しています。


13 死 死神 DEATH 「山姥」

「死」「死神」

 

大アルカナの13番のカードで、英語で「DEATH」と書かれています。

DEATHとは、直訳で死。絵から死神ともとらえられています。

 

 

死とは終わりのように感じますが、

大いなる秘密の視点から考えると、

死は「卒業」であり、

別世界へのスタート。

 

日本昔話タロットでは

この「死」に「山姥」が採用されています。

 

 

「山姥」はとても怖い存在のように感じます。

しかし、本当は山の神様なのです。

そして、同時に作物の神様でもあります。

 

地方によっては、

山姥は水害や地滑り、山崩れなどを伝えてくれる存在とされています。

金太郎の母でもあり、

やはり神のような存在です。

 

マルセイユタロットの「死」

こちらの「死」のカードは

マルセイユタロットのものです。

 

死神が鎌を持っており、

土には人間がバラバラになって埋まっている様子が描かれています。

 

この絵をそのまま子供に見せると、

恐らく泣き出してしまうでしょう。

 

どう見たって人間が死神によってバラバラに切り刻まれて埋められているように見えますよね。

 

しかし、ちょっと待ってください。

 

この死神も実は農耕の神様なのです。

そして、人間が死んで土にかえっていく様が描かれているのです。

 

確かに「死」は恐ろしいものですが、

自然界において、必ず「死」は訪れ、

そして、無駄なものではなく、自然の一部となるのです。

金太郎の母でもあり、

やはり神のような存在です。

 

こちらはライダー版の「死」のカードです。

 

王冠を地に落とし、屍になっている王。

その屍にしがみついている家族、

そして聖職者。

王の「死」を受け入れられずにいます。

 

そこに死神がやってきました。

 

これは屍になった王が腐敗していくさま、、、、

 

同時に冷酷な死の宣告を表しています。

マルセイユ版に比べると、

死を受け入れられない人間の愚かさがまざまざと描かれています。

    

タロットカードの中でも最も不吉なカードとされていますが、
これらのカード背景を理解すると、
怖いカードでないことが分かります。

 

自然の流れを受け止め、

自然の流れに身を任すことを教えてくれています。

 

「死」のカードは

次へのステップを気づかせてくれています。

そして、無駄なものではなく、自然の一部となるのです。

日本昔話タロットの「死」である山姥は山の神で、「金太郎の母」でもあり、

おなじく神の存在です。


14 節制 TEMPARANCE 「養老の滝」

TEMPARANCEは「養老の滝」で表されています。

 

このカードはとても意味深く、

「調和」「共有」「繋がり」というような

神聖なモノとのシンクロニシティを表しています。

 

その時は気付かなかったけど、

あとで考えると、お互い同じ思いだった!

それっ、私も思ってた!

同じ人間同士で思いがつながる時もあれば、

大いなる意思と自分の想いが同調する時もあります。

 

一時の欲望でなく、長い目で見れば、「調和」とは、

大自然に溶け込むことかも知れません。 

 

ウエイト版の「節制」

 

白い服を着た人には後光が射し、大きな翼を持っている。

この事から神に近い存在であることは容易に想像できます。

水は浄化や物質的にけがれのないモノの象徴。

そこに足をつけるさま、

片方は使っていないことを考えると、

けがれのない世界と、俗世を知る事も伺える。

そして、カップで水を移し替える姿は、

その通信役として、活動していることを表している。

様々な生命が生き抜く中で、

お互いが分かりあい、調整が必要だという事を教えてくれてます。

お互いがエゴを主張すれば争いになる。

理解しあって、節制する事の尊さを示してくれています。

 

マルセイユの「TEMPERANCE」、

イメージもあまり変わりありません。

 

大天使のような女性が、

水辺に立ち、

水を移し替えています。

 

このカードは実は、最後のカードとなってもおかしくないカードです。

水が移される天使の下半身の衣服は赤と紺。

赤「生」から紺「死」に向かって注がれ、

借りている物質(身体)が、死によって土に還る様を表しています。

 

どんな生命も、

自然節理に逆らうことは出来ません。

限りある命の中で、思いの丈を表現し、最後には感謝を込めて大地に還る。

「経験」のステージの最後にふさわしいと言えるでしょう。

大アルカナの真ん中にあたるステージ。

勢いある若者が、色々なしがらみにうろたえ、

自分というものを考えさせられるステージです。